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2013年08月14日

映画「風立ちぬ」の感想

久しぶりの映画の「風立ちぬ」を見てきました。
今日はその感想です。
ジブリアニメを映画館で見るのは初めてです。
残念ながら賛否両論の問題作ですが。
ネタバレ含みますので映画を見てから読んで
頂けるとありがたいです。

○ストーリーあらすじ

零戦の設計者、堀越二郎と作家 堀 辰雄をモチーフにした
飛行機と純愛ラブロマンスの複合アニメです。
史実の人物を主役にしておきながら
中身は非常に美しい架空の物語として進んでいきます。

何故これをモチーフにしたのか興味がありますが
日本の中で飛行機の設計で有名な人が少ないからだと思います。
宮崎監督の思いはどう伝わるのでしょうか。

○感想

感想はたくさんレビューとして出ていますのでまずそちらを見てください。

 風立ちぬ に関するみんなの感想

この映画は堀越二郎の大戦前の若い時代のみ描いた映画です。
恋愛部分や人間繋がりにおいて堀 辰雄の風立ちぬを複合させており同一性がありません。
特徴的なのが時系列がかなり短く断片的になっており
連続性が殆どありません。
また〜年〜月、場所といった数値文字的キャプションが
全く出てきません。会話や絵から各自で読み取る仕組みです。
堀越二郎が開発している戦闘機が何であるか説明もありません。
これが96式か零戦かの説明もない。
この時代の歴史背景の予備知識が十分にないと掴み取る事が出来ません。
つまり見る人の知識に応じて大きくその姿を変貌させる映画です。
これは宮崎監督の一流の演出なのでしょう。
知識の薄い層が見たら歴史無視したただの飛行機屋の恋愛映画です。
だが実際は宮崎流の見えない様々なメッセージが込められております。

知り得るはずもない海外からみたら紛れもなく日本人のプロパガンダ映画です。
しかも各自が好きな様に解釈できる内容で。
よくこんな演出で全世界に売り出しましたね。
確信犯で。

○多くの矛盾を抱えた宮崎式思想の「弱さ」

この映画が反戦映画として書かれるもっともな理由が
「堀越二郎」以外のキャラクターの発言として代弁されている。
しかし宮崎式理想を唱える資産家の「発言」と、貧困や災害を表す「絵」があまりにも一致しない。
ファンタジーに徹しきれない宮崎流の信念の「弱さ」が見事に表現されている。
またあえてモチーフになった小説の中の「悲劇」を描き切らない「弱さ」が
原作の堀越二郎と堀 辰雄を見事に否定している。
例えば戦闘機の急降下テスト時に機体が破損したがパイロットはパラシュートで脱出している。
だが堀越二郎の「零戦」では実際は殉死されており堀越二郎自身が葬式に参列して悔やんでいる。
堀 辰雄の「風立ちぬ」では節子が亡くなった後の悲痛感喪失感と
死を越えて生きることへの大いなるドラマがばっさり削除されている。
原作の中心となる「悲劇」までも削除せざる得なかった宮崎流「夢」への追及は
映画を見る人に真意を伝えられましたでしょうか?

平和や反戦をつかさどるものであれば、
戦後の堀越二郎の偉大なる業績、平和のシンボルである「YS-11」を
あえて出さなかったのも非常に興味深い所です。
実際とは異なる堀越二郎=戦闘機=戦争の道具の構造のイメージを
反戦である宮崎自身があえて作ってしまった事の「弱さ」は何を表したかったのか。


良く言われる日本式リベラル思想としては、
現実を一切顧みない、証拠や論理な直視をしない「強さ」が求められる。
例えばソ連学の研究者がソ連崩壊を通じて自由主義のロシアへ生まれ変わった現代でも
プロレタリアート独裁の理想を追い求めて夢想する研究者を大学で見てきました。
この作品にはそういった信念による「強い一貫性」がどこかで欠けているのが魅力かもしれません。

もしくは家族や子供でも見られる様にする為、
意図的に抹消した商売的な「モラル」であれば猶更、興味深い所でもありますが。
勿論、宮崎流の「弱さ」の代名詞として。


○まとめ
良くも悪くも賛否両論ですが個人的には面白かったです。
しかしあの時代は苦難と悲劇しか似合いません。
この映画はまさに宮崎監督の「夢の中」でしかありえません。
原作否定してまで描いた作為的な美しきラブロマンスと滲み出る宮崎監督の
勝手過ぎる不思議な「本音」をどう理解しえるのでしょうか。
どちらも日本人として都合の良すぎる自分勝手な理想論です。
海外の反応が非常に楽しみな一品ですよね。
是非色々なレビューも読んでみたいです。
posted by kapper at 07:28 | Comment(0) | 日記
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