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2016年10月16日

最近の事 2016年10月 サムスン品質問題を品質管理専門家視点で見た感想

サムスンでスマホが発煙して炎上する品質トラブルが話題です。
メーカーの人間なら多分こんな事があったのだろうな、
という勝手な想像を元にコメントします。
なかなかニュースが表に出てこないので。
ちゃんとリコールしたサムスンは立派です。
でも、良くある事なんですよね実際。
ついにやっちゃったか、という感想です。
Kapperはスマホとは全く関係ない分野の人間です。


●サムスンの品質トラブルのニュースを読んで。
色々ありますが、こちらから

 サムスン スピード至上主義でつまずき?=できるか品質重視

 ライバルの米アップルを意識するあまり安全性を
 きちんと確保できないまま製品を発表するケースも
 あったという証言が出ている。
 マーケティング部門の前のめりの姿勢が開発者の声を
 無視する形となり、技術が伴わないまま見切り発車で
 製品が販売されたという意見もある。

 アップルにも飛び火?サムスンのスマホ発火事故

 サムスングループと取引関係にある日本の企業は、
 「今回の発火事故は本体側の『過電流』が、
 主な原因ではないかと私たちはみている」と話す。

 どういうことか。スマホの電池には、
 過度の電流や電圧などによる負荷を避ける
 「保護用IC(集積回路)」が組み込まれているものの、
 本体側で電流などを調節する回路に問題があり、
 保護機能を超えるような電流が流れ続けたのではないかということだ。


●何故、品質クレームが発生するのか
単純にいうと、出荷してしまったからです。
出荷しなければ、問題は発生しません。
開発部隊や営業部隊が品質保証より力を持ちすぎると出てしまいます。
社内の政治的な理由です。
変更管理を承認する本部長や事業部長がトロ臭いからこうなります。
良くある事です。

・新商品である
・部品を変更した
・工程を変更した
・工場を変更した
・調達先を変更した
・設計を変更した
・機械を変更した
・検査を変更した

まあリスクは普通に沢山あると言いいますか。
通常新商品開発にはISO9001で決まっている
『設計・開発の レビュー』に基づいて行われます。
信頼性、安全性にともなうFMEAがあって、要求事項をクリアした
製品のみが品質保証部門の承認をもって出荷される仕組みです。
ギャラクシーノート7ほどの主力製品で、放置される訳がない。
本来は。
そこの運営方法を甘く見た。人的リスクですな。


●発熱のリスク
通常CPUの発熱や過剰電流、カメラ、ゲームなど
負荷のかかる状態では発熱します。
設計に問題があったのでしょうか?
情報ソースが出てこないので明確になっていません。
今回サムスンSDI製のバッテリ品で異常が発生したと言われています。
でも実際はサムスンSDI製以外も発熱したらしいですけど・・・
通常1社から独占で部品を買うという事はリスクを考えると少ないです。
当然複数購買になるんですが、実はリスク管理はそれぞれ2倍になりますw
で部品数の分だけテスト検証はN乗になります。面倒くさい

●工程能力と設計FMEA
歩留まりや安全しろを見るのは本来工程能力指数で計算されます。
リスク検証はまず設計FMEAで数値化します。
で、要求スペックから規格値を仮決めします。
CPU周波数や電流値や発熱量みたいな感じでしょうか?
分からないので適当に喋ってます。
規格値に対して、安全しろを追加して試作品を作成し工程能力を算出します。
試作が少数の場合は勿論工程能力はあてになりませんが。
一般論としてCpkが1.33、60ppm以下になった場合に承認されます。
3σとはよく言われますが、適当です。
所が、60ppmというと100万台に60台は不良になる確率です。
不良は決してゼロにはなりません。
ギャラクシーノートの場合、数千万台作られるだろうから、
量産を許可されるのはCpkは1.67くらいいるのでしょうかね?
とっても検証に数量と時間がかかります。
ここが罠1です。

実際の生産量は250万台に対し事故は35件
ハインリッヒの法則から憶測で1:300のヒヤリハット相当があると仮定すると、
250万台に対しどんなに最低でも10500台の問題児がいる計算になります。
0.42%?。Cpk=0.95前後?
絶対に全数検査が必要なレベルです。
抜き取り検査では出荷してはいけないレベルですね。
つまる所、設計ミスの問題かと。
罠2です。

●調達部品の工程管理
調達する部品も当然工程能力が高い必要があります。
じゃあどうやって保証するの?
検査します。
N数と工程能力、リスクとコストを元に検査基準を決めます。

・管理検査:メーカー成績書のみ
・全数検査
・抜き取り検査

メーカーの成績書を信頼するなら管理検査です。
危険ですけど。
たいていは抜き取り検査です。
で、独自に工程能力指数を算出します。
この工程能力の高い低いで判断します。
工程能力が低いと当然不良が入ってきますが抜き取り検査だとハネる事が出来ません。
複数のメーカーから買うと当然リスクはN乗になります。
成績書がどの位信用できるか、十分すぎる検証が必要です。
当然サプライヤー監査します。
面倒なんですよ。

で、サムスンSDI製品から発火。
グループ会社だから甘く見たケース?
政治的に調達を強制された?
工程能力が低かった?検査が不十分だった?
従来製品だったか新商品だったか?
本当の所はわかりません。
ニュースで情報が出ないことにはなんとも。

●とまあ時間がかかります。
新商品が世に出てくるまではかなりの時間がかかります。
はやく新製品を出せばそれだけ市場に対し有利になります。
と、すると社内政治的に問題があった場合は
本来出荷してはいけないものが出荷される事がよくあります。
あのトヨタですらリコールをしてしまいます。
初回ロットが危険だと言われる理由がこちらです。

最近の中国メーカーみたいにあまりに登場が早い新製品は怖いです。
個人的には2chなどで様子を見てからしか買いません。
どこか問題がある形がなくなりません。

でもちゃんとリコールするサムスンは立派です。
大損害ですが。
問題はちゃんと説明責任を果たして、
次の機種でお客様に信頼を取り戻す事です。
じゃないと買ってもらえなくなります。


品質管理の業務と品質保証の業務って面倒なんですよ。
面白みの無い仕事ですし。
でも社内の大黒柱です。
問題なくて当たり前。あったら大問題。
すり抜けたら死活問題。
営業や製造や開発部隊の権力に負けない政治力が要求されます。
当然、社内外からの嫌われ者になります。
だいたい、品質保証の権力の弱い会社は崩壊します。
目先の利益に踊らされると痛い目にあいます。
そこの信頼関係が最終的にブランドイメージになるんでしょうか?
日本の場合。
Made in Japanでもまだまだ勝つチャンスは沢山あります。
がんばりましょう。
posted by kapper at 20:01 | Comment(0) | 近況
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